日本炭化学会名誉会長 谷田貝光克
(東京大学名誉教授)
より一層のご支援、ご協力を
木質炭化学会会員の皆様には日頃、多大なるご支援・ご協力を賜り、ここに改めて心から御礼申し上げます。おかげさまをもちまして当学会も創立10周年を迎え本年6月に開催された総会・研究発表会時に10周年記念特別講演会を開催することができました。これもひとえに皆様のご支援・ご協力のおかげでございます。
顧みますれば、当学会は平成14年4件の研究発表を持ちまして東京大学農学部の講義室で開催されました研究会に端を発します。初回の試みにも関わらず、多数の参加者のもと、熱心な討議が行われ、皆様の炭化研究に対する熱意もあり、次年度には研究会は木質炭化学会と組織を改めて第1回研究発表会を開催し、今日に至っております。研究会発足当時からこの学会は、研究者のみの研究発表の場ではなく、炭化に関わるすべての分野、すなわち、大学・研究所等の研究者だけでなく、製炭者、流通業者、消費者、行政関係者など、炭化と炭の流通、利用などに関わる広い範囲の人たちが一堂に会して発表を行い、討議し、問題点の発掘を行い、また、発表の中から新しい利用法などを見出すことを理念として学会の拡充、発展を心掛けてきました。おかげさまをもちまして、毎年の年次大会には20数件を上回る研究発表のもとに活発な討議が行われ、また、学会誌も充実し、貴重な、そして斬新な研究報告が行われているところでございます。
今や世の中は温暖化ガスを排出する化石資源に代わり、再生可能でカーボンニュートラルな生物資源の利活用に大きな関心が集まっています。生物資源の炭化生産物としての利用もその一つです。生物資源の有効活用の考えのもとで、炭材の種類も多種多様になり、炭化生産物も多様化してきています。炭化生産物の新素材としての開発研究もこれまでにも増して活発化していくことでしょう。当学会はそのような中で、今村 祐嗣会長のもと炭化に関わる皆さんのより一層の絆を高めることによって当学会本来の理念のもとで、問題解決、さらには新用途の開発、炭化生産物の円滑な流通等に対処していくことを切に望む次第です。
皆様のより一層のご支援、ご協力をお願い申しあげます。
2012.8.1